成年後見制度

認知症・知的障害・精神障害などによって、判断能力が欠けていたり、不十分な方について、申立てによって家庭裁判所が「後見開始の審判」をして、本人を援助する人として成年後見人を選任する制度です。

成年後見のポイント!

  • 司法書士に成年後見人になって欲しいというご依頼のほか、ご家族などが成年後見人になる予定で、裁判所へ提出する書類だけを作って欲しいというご依頼も可能です。
  • 成年後見のほか、ご本人の判断能力に応じて、保佐、補助と3段階の制度が用意されています。
  • 成年後見人は、正当な理由がない限り、ご本人が亡くなるまで、辞められません。
  • 成年後見人は、年に一回、裁判所に報告書類を提出しなくてはいけません。
  • 成年後見人は、年に一回、裁判所に報酬申立てを行い、裁判所が決めた報酬額をご本人の財産から受領します。
  • ご本人の財産と、成年後見人の財産がごちゃ混ぜにならないよう細心の注意が必要です。正当な理由なく、ご本人の財産を成年後見人が自身のために消費した場合、横領罪に問われるおそれがあります。
類型ご本人の常況後見人等の権限
成年後見判断能力が欠けている広範な代理権
取消権
保  佐判断能力が著しく不十分同意権+取消権
代理権
補  助判断能力が不十分同意権+取消権
代理権
※後見3類型の簡略図

成年後見人・保佐人・補助人が選ばれるまでの流れ

1.申立て必要書類の準備
必要書類をご案内いたしますので、ご準備頂きます。
必要書類には、ご本人の戸籍や住民票、医師の診断書、通帳のコピーや不動産登記事項証明書、直近3ヶ月程度の日常生活費のレシートのコピーなど、たくさん書類が必要です。当方にて代理取得できるものについては、ご希望に応じて、司法書士が収集いたします。
また、ご家族に記入して頂く書類もございますので、ご記入をお願いします。
2.申立書類の作成
申立書・代理行為目録・同意行為目録・親族関係図・財産目録・収支予定表などを、司法書士が作成いたします。
申立書には、後見人に選んで欲しい人を「後見人候補者」として記載することができます。
3.申立て
申立書類一式を家庭裁判所に提出します。
原則、申立人の方に提出をお願いしておりますが、ご希望があれば、提出に司法書士が同行したり、司法書士が使者として提出を行うこともできます。
4.調査
裁判所から電話が来ますので、調査官の面談予約をします。
面談日には、ご本人、申立人、後見人等候補者が家庭裁判所に行き、調査官と面談を行います。確認されるのは、ご本人の生活状況や抱えている問題、財産や収支の状態、後見人等候補者の適格性など細部にわたります。裁判所に行くことが難しい場合は、調査官が病院や自宅などに来てくれます。
※申立てをする前に先に裁判所に電話をして、調査の予約を取ってしまう方法もあります。この場合は、予約後、速やかに申立てします。
5.鑑定
調査の結果、本人の判断能力がどれくらいあるのか、追加で医師の判定が必要だと判断された場合は、医師の鑑定が行われます。
鑑定が行われると、追加で医師の鑑定費用がかかります(だいたい10万円以下)。
6.後見(または保佐・補助)開始の審判
裁判所による審理が終わると、開始の審判がなされます。
裁判所は、ご本人にとって最も適切と思われる人を成年後見人(または保佐人・補助人)に選ぶので、申立人の希望に沿わない場合もあります。
また、ご親族の方が成年後見人に選任される場合、弁護士や司法書士などが監督人として追加で選任される場合もあります。
7.審判の確定
審判書が届いてから2週間は不服申立期間となり、2週間が経過すると審判が「確定」します。
確定して初めて、後見人として業務を開始することになります。