不動産売買は準備が全て
不動産を売買すると、当然名義が売主さんから買主さんに変わります。
その名義変更登記を司法書士が行うため、不動産の売買には、不動産業者さんのほか、司法書士も関わることになります。
不動産売買の一般的な流れは、以下のとおりです。
※所有権移転時期の特約がある契約を一般的な流れとしてご紹介しています。
①契約
↓
②ローンの手続きなど諸々進める期間
↓
③残代金決済(代金支払い・所有権移転)
③の残代金決済に司法書士も同席をし、名義変更に必要な書類が全て揃っていることを司法書士が最終確認して、買主さんに売買代金を支払って頂きます。
この売買代金支払いにより、所有権が買主さんに移るので、司法書士がその登記を即日申請します。
上記のとおり、司法書士が実際に登場するのは、最後の残代金決済のときだけなのですが、実はその前から色々と準備を進めています。
不動産業者さんとの打ち合わせに始まり、金融機関さんとの打ち合わせ、登記に必要な書類の事前確認、残代金決済に欠席される方の事前本人確認、担保権設定書類の事前受け取りなどなど・・・残代金決済時に、スムーズに事が運ぶように、綿密に準備を行います。
万が一、決済当日に何か問題が発生すると、決済は日を改めてやり直しになるか、最悪の場合は契約解除にもなりかねませんので、準備はとても重要なことです。
どれくらい綿密に準備を行うかと言うと、それを表す、以前私が勤めていた事務所の同僚が残した名言があります。
「準備が全てやからな。決済の時点では、もうほとんど決済は終わっているようなもんや・・・」
だそうです。
準備が大事と散々申し上げてきましたが、どんな怪談話よりも司法書士が恐れるのが、「決済時に登記に必要な書類が無い」というケースです。
- 売主さんが実は権利証を紛失していた・・・
- 権利証を別の不動産のものと間違えて持って来てしまった・・・
- 売主さんの印鑑証明書を見たら、登記上の住所と違っている・・・
正しい権利証がその場に無ければ、売主さんがなりすましの可能性を排除できないため、買主さんに代金を支払って下さいとは言えません。すなわち、決済は延期または中止になります。
印鑑証明書の住所と登記上の住所が違っていれば、別途住所変更登記が必要になるので、急いで追加の書類を役所に取りに行って頂くか、決済は延期または中止になります。
こんな顔面蒼白の恐怖体験をしないように、事前に当日お持ち頂く権利証や印鑑証明書のコピーを頂いて、間違いがないかを確認し、必要に応じて当日お持ち頂くものをご案内して、決済当日に何事も起こらないように予防線を張るわけです。
もしも、不動産業者さんや司法書士から、書類のコピーが欲しい、写真に撮ってメールして欲しいなどと依頼があった場合、それは安全な手続きを行うために必要なことですので、どうかご協力頂きますよう、お願い申し上げます。