遺産分割協議書に判子を押すときは・・・

遺産分割協議は何度でもやり直すことができますが、あくまで相続人全員がやり直しに同意した場合の話です。
すなわち、一人でもやり直しに反対の相続人がいる場合や、一人だけがやり直したいと言っている場合は、やり直しはできません。

以前、ご相談をお受けした事例をご紹介します。

Xさんが亡くなり、相続人は妻Aさん、子Bさん、子Cさんの3人です。
妻Aさんは後妻であり、Bさん、Cさんと血はつながっていません。
Cさんは生まれて間もなく他家の普通養子となっており、X家族とは長らく疎遠でした。

Xさんが亡くなった後、相続人であるCさんに、何十年かぶりに連絡を取り、相続の手続きに協力してもらうこととなりました。
話し合いの結果、Cさんは長らくX家と関わりが無かったので何もいらないということになり、遺産は妻Aさん、子Bさんが全て相続することになりました。

遺産分割協議書を作成し、3名がそれぞれ押印をし、一件落着と思っていた矢先に、Bさんに1通の文書が届きました。
差出人は弁護士です。中身を見てみると、Cさんの代理人として、遺産の中からCさんにも金銭を支払うよう要求する内容でした。
つまり、Cさんが弁護士を立てて、遺産を要求してきたのです。

驚いたBさんでしたが、Bさんも弁護士を立てて、弁護士から毅然と要求を断ってもらった結果、以後Cさんから要求が来ることはありませんでした。

このケースでは、Cさんは何らかの事情で気が変わり、やはりもらえるものがあるなら欲しいということで金銭を要求してきたわけですが、一度、遺産分割協議が成立した場合、Cさんだけの一存で遺産分割協議をやり直すことはできません。
したがって、Cさんの要求には何の法的根拠もありません。
Cさんの弁護士も当然にそれを分かっていて、もしかしたらAさんBさんが要求に応じて金銭を支払ってくれるかもしれないという可能性に賭けて、文書を送付したのだと思います(要求に応じた場合は、遺産分割協議のやり直しということになります)。

この事例で重要なのは、一度、遺産分割協議書に押印すると、簡単にはひっくり返せなくなるということです。

後悔することのないよう、遺産分割協議書に押印するときは、よく考えて慎重に押印した方が良いですね。

相続

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