成年後見のお話
以前、私が成年後見人をしていた方のお話です。
その方は高齢の女性の方で、認知症が進行し、行政からの依頼で、私が成年後見人になりました。
とても明るく、お話し好きの方で、あるとき「一緒にお寿司でも食べながらお話しがしたいわ」と仰っていただきました。
しかし、その方はグループホームに入所しており、基本的には食事はグループホームが用意したものを召し上がることになります。
また、お寿司は生ものなので、万が一、ご高齢の方が食中毒にでもなれば命に関わる可能性もあるため、実現はしませんでした。
ご本人の希望を叶えることが第一ではあるものの、ときには、成年後見人として、ご本人の身体や生命に害が及ばないよう配慮することも必要となります。
ちなみに、もしも一緒にお寿司を食べることになっていたら、ご本人のお金で2人前のお寿司を買ってしまうとアウトです。
これは、ご本人のお金を、成年後見人のために消費したこととなり、「横領」になります。
それぞれのお金で個別にお寿司を買うか、成年後見人が2人前のお寿司を自費で買えば、横領にはなりません。
たとえ成年後見人が親族であっても、扶養義務の範囲を超えていれば同様ですので、注意が必要です。
成年後見人には、厳しい金銭管理が求められています。