遺産分割協議書の書き方
今は、インターネットや書籍で、遺産分割協議書のひな形がすぐに見つかりますので、ご自分で遺産分割協議書を作る方もたまにいらっしゃいます。
しかし、遺産分割協議書の書き方に不備があると、せっかく作った遺産分割協議書が使えない可能性もあるのです。
遺産分割協議書は、当事者だけでなく、第三者が見ても容易に内容を理解し、誤解が生じない程度に、内容を明確に作成することが大事です。
例えば、「通帳は〇〇が相続する」と書いてある場合、亡くなった方の預金口座の全部を指すのか、特定の口座を指すのかなど、場合によっては疑義が生じる可能性があります。
預金口座の場合は、金融機関名・支店名・口座種別・口座番号を特定して記載することで、誰が見ても明確な記載になります。
【例】次の預貯金は〇〇が相続する。
A銀行 浜松支店 普通 口座番号0123456
また、「自宅と畑は〇〇が相続する」と書いてある場合も、自宅とは土地・建物両方なのか、建物だけなのか、畑はどこまでを指しているのか、畑の横の物置場の土地は含むのかなど、不明瞭です。
不動産の場合は、所在・地番・家屋番号などで特定することで、誰が見ても明確な記載になります。
【例】次の不動産は〇〇が相続する。
静岡県浜松市中区○○一丁目1番2の土地
静岡県浜松市中区○○一丁目1番地2 家屋番号 1番2の建物
※地目(宅地など)や種類(居宅など)、地積や床面積を更に記載してもOKです。
遺産分割協議書の全体の記載から見れば、多少内容に不明瞭な箇所があっても、全体の記載から意味が理解できる場合もありますし、逆に全体の記載から矛盾が生じる可能性もありますので、書き方には十分気を付ける必要があります。
相続人の方から見れば、「通帳はこれとこれしかないんだから、誰が見たってわかるじゃないか」「自宅といえば土地も含むに決まっているだろ」と思われるかもしれませんが、遺産分割協議書は、作成後に相続人全員の合意を証明する書面として、各種手続きに使用します。その際に、遺産分割協議書を見るのは、相続人ではなく、手続きで使用する先の第三者です。その第三者が見たときに、内容を明確に理解し、疑義を生じさせないことが必要なのです。
上記以外にも、亡くなった方を特定する書き方や、後日新たに別の財産が判明した場合に備えた書き方など、ケースバイケースで色々な書き方がありますので、遺産分割協議書を作成する際には、専門家に相談したり、信頼できる書籍を参考にするなどして、後日トラブルにならないような遺産分割協議書の作成を心掛けて下さい。