相続放棄の本当の意味は?

相続のご相談をお受けしていると、よくご相談者様から「自宅については、弟には放棄してもらって、私の名義にしたいんです」などのお言葉を頂くことがあります。この場合の「放棄」とは「いらないよ」という程度の意味だと思いますが、民法が定める「放棄」には別の意味があります。

民法のいう「相続の放棄」とは、家庭裁判所に相続を放棄しますという書面を出し、完全に相続人の地位を失う(初めから相続人でなくなる)ことをいいます。すなわち、放棄した相続については、全くの無関係になるということです。
この放棄を行うと、とにかく相続人ではなくなるので、そもそも遺産を分ける話し合いにも参加できなくなりますし、当然何も相続できません。相続の手続きでよくありがちな、相続人全員の印鑑を押して下さいというような書面にも、原則として相続人ではないので押印しなくて良くなります。

冒頭の「いらないよ」という意味合いの放棄では、まさか完全に相続人でなくなることまでは想定していないでしょうが、本当の意味の放棄は、相続人の地位を失うとても強力な手続きですので、意味を間違えて使ってしまうと、大変な勘違いを引き起こしかねません。ご注意下さい。
ちなみに、「自宅については、弟には放棄してもらって、私の名義にしたいんです」というご希望の場合は、放棄ではなく、「遺産分割」によってご希望を叶えることができます。強力な放棄までする必要はありません。

その他、相続放棄を検討する上での注意事項は、
・亡くなってから3ヶ月以内に家庭裁判所に書類を出さなくてはいけない。
・放棄をすると、次順位の相続人が相続人になる。
という点です。次順位の相続人については、こちらのページの「誰が相続人になるの?」欄をご覧下さい。

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